以前、院内感染により感染した患者さんの病室を訪れたことがあります。

　その方の身体からは、日々、練習で私が取り入れている、身体に良い「気」が漏れ出していました。

　施術すると一時的に収まっても、また耐えられないかのように出始めました。

　残念ながら、その方は翌日、お亡くなりになりました。

　私が「気」の大切さを身にしみて感じた出来事でした。

　もし、自分の「気」が充実していれば、目の前の患者さんや家族、知人など大切な人を助けられる可能性が高くなるに違いない。もちろん自分の命や健康にもプラスに役立つはず。そう考えたら、練習を欠かすことができなくなったのです。

　「気」は通常は目に見えない存在ですが、生物が生きていくために欠かせない生命エネルギーとされています。身体からある限度を超えて失われたり「気」の循環が途絶えたりすると、機能低下や体調を壊すだけではなく、場合によっては命を失うこともあります。「気」は、目で見える「身体」の「血」「水」などと同様、生命を維持する大切なものとされています。

　傷病は、さまざまな外的、内的要因、刺激などで引き起こされるものです。

「気」のシステムは、生物の自然治癒力に深く関わっています。傷病になるリスクの大小や、その回復の経過にも影響を与えています。人の健康状態には「気」の状態により個人差があり、同じ負荷や環境でも、傷病になる人とならない人がいます。同じ治療をしても、治る方と治りがよくない方がでてきます。

　これまで、危険な状態から回復した患者さんから、医療関係者から「あなたは生命力が強い人ですね」と言われたと伺ったことが度々あります。私はこれには「気」のシステムの強さが関わっていると考えています。体調を壊している方は、多くの場合、「気」やコントロールする力が弱っているのを感じます。

　「気」のシステムを、施術や練習、さまざまな知恵を使って調整、強化し、身体をより健康に近づけていくのが「気」の整体です。

　身体に必要な生命エネルギーである「気」の量が多く、強さがあること。そして「気」を自身でコントロールできることが大切だと考えます。